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「今年も新しい一年が始まったのねぇ」
「そうだな」
のんびりとした雰囲気漂う某ディンガル宰相の執務室。
各人思い思いに部屋にある食べ物や飲み物を物色する。中にはどうみても部屋に不釣り合いな食べ物等も持ち込まれているが、そこは新年。部屋の持ち主も寛大な心で見ない振りを決め込んでいるようだ。
「ところで……」
「なぁに?」
リディアがこれまた似つかわしくないスルメの一夜干しを囓りながら答える。仮にも貴族の娘がスルメの一夜干しとはこれいかに。
「君がここにいるのは良いとして……何故ファーロスの剣狼までここにいるのか!」
「それはね」
「それは?」
「新年だからよ!」
全て新年、という一言で片づけられてしまう辺りがリディアの強さなのか。
自信満々に言われては帝国側に反論の余地は無い。仕方なくそうか、とだけ答えて飲みかけのアルコールに手を出す。
「そうそう、深く考えなさんなって」
「そうよ、ベルゼーヴァ」
ちゃっかりとリディアの隣をキープしているザギヴ。彼女まで何故この部屋に?と軽い疑問を持ちつつも、きっと新年だからなのだ、と無理矢理己を納得させる帝国宰相。この雰囲気の中では真面目に考えた方が負けである。
「そういえば去年の今頃は何してた?」
スルメに飽きたのか今度はイカの乾物を囓りながら問いかけるリディア。つくづく食べ物の選択を間違っている。
「俺は色々と動き回ってたな」
「私も各地進行の為に忙しかったわ」
「私も同じだな」
予想以上につまらない回答に、話題を振ったリディアは頭を抱えた。確かに考えてみれば敵対している者同士。結果的にやっている事は同じだろう。
今こうしてのんびりしている事自体奇跡に近いのだ。
「私はソウル取得に忙しかったなぁ。丁度ネガヴァニティアを宿しつつアムドゥシアス獲得に励んでたよ、うん」
昔を懐かしみつつ頷くリディアにゼネテスが唖然とした表情で問う。
「お前さん随分と早すぎやないか?そのペースは」
一体どんなペースで依頼を受け持っていたのだろう、と心底疑問に思う。そしてある事に気付いてしまった。
「なぁ……時にその時のレベルは……?」
常々疑問に思っていたのだ。何故あんなにステータスの伸びが早いのか、と。低レベルの時から上級のソウルを宿していたとすれば疑問は解決される。
「レベル??んー確か12だったかな。そうそう、それで15くらいの時にアムドゥシアス獲得したんだよね」
道理でINTとMINが尋常じゃないはずだ、と一人頷くゼネテス。
「君は革新的なのだな」
私の目に狂いはなかったと悦に入るベルゼーヴァ。
ザギヴはザギヴで流石私が心を許した人、とこちらも悦に入っている。
だが皆して気付いているのだろうか?これが一年前の話だ、という事に。現在の彼女のステータスを見れば宿しているソウルも何もかもが尋常じゃないという事に気付くだろうに。そこまで気が回らないのはやはり新年の魔力なのか。
「では今年の抱負は?」
リディアの問いから繋げる形でザギヴが問う。
「人類の革新だろう」
あの親にしてこの子あり。な回答が提示される。未だにあの二人が本当の親子なのかどうか真偽は明らかになっていない。
ただ一つだけ言えるのは、髪型はまさしく革新的であるという事。
「私はディンガルの全土統一ね」
なにげに危険な言葉を吐くザギヴ。
「俺はあれだな……ま、色々だ」
肝心な事は最後まで濁すゼネテス。
そして……私は竜王を殺っちゃう事かなv
などとは当然言えるはずもなく
「ロストールの政権争いがどうにかなれば良いなぁ…なんてね」
とりあえず笑顔で誤魔化すリディア(ウルグ付)
「えー、では各々の野望の為に頑張りましょう!」
とこれまた微妙に危険な締め言葉で新年の不可思議な集まりは幕を閉じたのである。